Release Date: Oct 9, 2015
DRIFTはcoffee文化に向けて新たに捧げられた素晴らしい雑誌だ。この上なく優美な写真と惹きつけるような文章から成るのが特徴である。新しいだけでなく、多くの日本のバリスタたちの間ではすでに話題となっている(そして読まれている!)。特定の街を訪れる際、coffee聖書となることは間違いない。
第1弾(ニューヨーク編)と第2弾(東京編)は完売した。もし手に取る機会があったら、すぐにその訳がわかり納得するだろう。
私たちは雑誌創刊を支えたチーム ー アダム(Adam)、ダニエラ(Daniela)、エリッサ(Elyssa)の3人と対談をした。彼らは第3弾で特集する街も明かしてくれた。さて、どこになるんだろう!
Interview
コーヒーに興味を持った経緯は?Driftの原点を教えてください。
当初コーヒーは日常的に飲んでいましたが、それ自体にはあまり思い入れもありませんでした。
2011年に母がコーヒーショップをメキシコにオープンしましたが、NYなどに目立ってきていた様なコーヒー専門店とは程遠いものでした。それからNYで何がつくりだされ、流行が発信されているのかを勉強し始めました。
最初はショップのレイアウトやデザインだけに目がいっていましたが、徐々にコーヒーの風味や、店ごとの違いにも気がつくようになっていきました。アダムと一緒にエスプレッソレッスンを受講し、家でいろいろな抽出方法を試し続けていたのもこの時期です。私たちは旅行の先々でコーヒー店を巡るようになり、そうすることで新しい街を知る事の楽しみを発見したのでした。Driftはこのユニークな観点を読者と共有するために生まれたのです。ー ダニエラ
雑誌に掲載する候補のカフェを見る際、何を考えますか。
そのカフェの具体性というよりも、裏にあるストーリー、街、人間模様を重視します。
ありがたいことに、最良のカフェの多くはコーヒー自体に関して語るべきストーリーを持っています。
しかしニューヨークを例にとってみると、人々がコーヒーを飲むという行為はその人の住んでいる土地柄とルーティーンとに深く関係しており、コーヒーの質などは二の次であるように感じられるのです。実際、多くのニューヨーカーやビジターたちのお気に入りは、路上のワゴンやスーパーからたった1ドルで買う、発泡スチロールのカップに入ったものだったりもします。ある人は1ブロック先にある、毎朝フレンドリーなバリスタとおしゃべりを交わしているカフェが行きつけで、またある人はオフィス近くでフリーWiFiがあり、友人と会う前に数時間仕事をしながら長居しても追い出されないカフェがお気に入りかもしれない、というように。
そんなわけで、それぞれの記事に取り上げるスポットは、私たちが最もお勧めするベスト10をまとめたものになっています。ー エリッサ
いままでのコーヒー旅行の中で一番驚いたことはなんですか。
今までで1番クレイジーだった “コーヒー事件” はチベットのラサでのことです。アダムと私はそこに2013年12月から翌年1月まで滞在していました。初日、観光を終えてから小腹を満たし水分補給をするため、なんともなしに選んだレストランに入ることにしたのです。店を後にしようとした時、完璧なラテアートを施された見事なカプチーノが、バーカウンターに置かれているのに気がつきました。サードウェーブコーヒーなどラサではまだ浸透していないはずでした。とすると誰がこの一杯を淹れ、どうやってラテアートが遥々チベットまで辿り着いたのかがとても不思議でした。その “バリスタ” の正体が、アメリカやアジアのYouTubeを何回も見てラテアートを習得した10代の若者だったことを知った時は驚いたものです。ー エリッサ
第1弾のニューヨーク編と第2弾の東京編から学んだことで、次号から変えようと思う点はありますか。
コーヒードリンカーの多くはこのブームは最近始まったと思っているようです。しかし業界ではここ15年ほど続くもので、今に始まった事ではありません。コーヒーの歴史は長く、ニューヨークのワゴンで売られていると思ったら、東京の凝りに凝ったエスプレッソショップまで、一括りにコーヒーと言っても幅広いものです。つまり、質の良し悪しや飲む頻度の違いはあるにせよ、コーヒーを飲むという行為はどの人にとっても重要なテーマであると言えるでしょう。ー アダム
初めての旅行先で良いコーヒーを見つける時のアドバイスをください。
よくやるのは、とっても好きなカフェを見つけたら、そこのバリスタにオススメのカフェをきくことです。とても結束の固いコミュニティのため、その手を使えばまず間違いないでしょう。ひとついい店を知っていたらもう十分、というわけです。ー ダニエラ
皆さんに伺います。多分答えられないと思いますが、好きなカフェをひとつ選ぶとしたらどこですか。またその理由は?
狭苦しくなく、良いコーヒーがあり、光に満ちたところが好きです。
ニューヨークでは、PropellerやSweetleafやLittle Collins、そしてお気に入りのチャイがあるBluestone Laneによく足を運びます。小一時間、ノートを広げたり読書に没頭でき、家にいる時のようにくつろげる場所でないといけません。それと同時に、洗練されたエスプレッソをカウンターに立って飲み、燃料補給できるところである必要もあります。
私の一番好きな店は、トスカーナ地方のモンスンマーノ・テルメにある、Il Cappuccino del Reという地元のちいさなカフェです。そこで夏を過ごした時、
1) 素晴らしいコーヒーはどんな味がするのか
2) 社会構造の中にどれだけ織り込まれているか
の2点を初めて本当に理解したような気がします。そこは、1日が始まる前に人びとが集まりニュースについておしゃべりを交わす場であり、堪え難い暑さから逃れる憩いの場でもあります。私はそのようなことに惹かれるのです。ー エリッサ
よく考えないといけないから難しいと思うでしょう。でも私にとってはブリーカーストリートにあるGasoline Alleyが一番です。今はあまり頻繁に行っていませんが。
朝の一杯にはぴったりの場所です。ー ダニエラ
Bear Pond Espressoです。エスプレッソの聖域であり、本格的なこだわりとリラックスさせる心地良さを兼ね備えた店です。Katsuのコーヒーに対する完璧主義がまず頭に浮かびます。彼が納得のいく一杯を提供するために、2〜3回試し淹れをするのを目にしました。彼は常に体を動かしており、それはコーヒーと合わせてとても見事な印象を与えているのです。ー アダム
では次の第3弾ではどの街を取り上げるのですか。機密情報だったら構いません、諦めます!でもこれからどんな街がDRIFTの目に留まるのか教えてください。
Drift 第3弾: ハバナ ー アダム
Drift Team
EDITOR IN CHIEF Adam Goldberg (@alifewortheating)
CREATIVE DIRECTOR Daniela Velasco (@danielavelasco)
EXECUTIVE EDITOR Elyssa Goldberg (@elyssarg)
DRIFT
http://driftmag.com
Photography by Daniela Velasco
Translation by Kana Murakoshi